適用事項
本工法は、「鉄筋継手性能判定基準」に示された「A級継手」として使用できます。また、継手の位置・集中度は、「建築物の構造関係技術基準解説書(日本建築センター刊)」によります。本工法の適用範囲は原則として日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JAAS5(鉄筋コンクリート工事)」及び日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針」に準拠します。
適用鉄筋 | JIS G 3112-1987「鉄筋コンクリート用棒銅」の規格にて製造された鉄筋 | ||
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鉄筋の種類、呼び名、使用溶接材料 | SD345 | D19~D51 | 590N級高張力銅用ワイヤ |
SD390 | D19~D51 | 690N級高張力銅用ワイヤ | |
SD490 | D25~D41 | 780N級高張力銅用ワイヤ | |
異径間継手 | 各銅種(鉄筋の各種類)とも呼び名1径差間まで可 |
治具寸法
本工法に使用する治具は、下図・下表の通りです。
鉄筋呼び名 | 形式 | 長さ L(mm) | 幅 W(mm) | 高さ H(mm) |
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D19 | ME19 | 150 | 65 | 100 |
D22 | ME22 | 150 | 65 | 105 |
D25 | ME25 | 150 | 65 | 105 |
D29 | ME29 | 150 | 65 | 105 |
D32 | ME32 | 155 | 65 | 105 |
D35 | ME35 | 155 | 75 | 105 |
D38 | ME38 | 155 | 75 | 115 |
D41 | ME41 | 155 | 75 | 115 |
D51 | ME51 | 155 | 90 | 135 |
作業可能範囲
下図の状況での作業が可能です。
鉄筋呼名 | 最小間隔 | 鉄筋呼び名 | 最小間隔 |
D19 | 69 | D35 | 85 |
D22 | 72 | D38 | 88 |
D25 | 75 | D41 | 90 |
D29 | 79 | D51 | 100 |
D32 | 82 |
※本表の内容・数値は予告なく変更致します。但し、数値は最小限を表しており、施工時は必ず打ち合せを行って下さい。
本工法を採用することによる鉄筋工事や型枠工事の簡略化
①配筋時、同一断面の継手集中(イモ継)

A級の評定を受けた継手なので、同一断面に継手位置を集中させることが可能です。そのため、鉄筋の加工の手間を大幅に減らすことができます(継手の集中度についてはここを参照)。
②ガス圧接のように「引っ張り」をしないので、スターラップやフープを先行施工が可能

③ ①②の特徴をさらに生かし、先組(型枠先行可)やプレキャスト工法ができる。
<梁の溶接>
<柱の溶接>
地上部分で鉄筋を組み、型枠を取り付け揚重し、作業階にセット。エンクローズ溶接の施工は、上筋は作業階から、下筋はその直下階から行います。
④鉄骨基礎では埋め殺し型枠が使用でき、また、水平ハンチ筋もきれいに収まります(ガス圧接のように引っ張ることがない)。

⑤何度も記述していますが、ガス圧接にみられる引っ張り、鉄筋の動きがないため、鉄筋位置を固定できます。梁筋のコンクリート打設もその自由度が増します。よって、床面積の大きい工事では、配筋・型枠の施工が終了した箇所からコンクリート打設が可能です。下図は、重機・車両等進入しやすく梁を開けてある状態で、後に本工法で容易に復旧できます。

土木では床版の継手が、主筋・配力筋を配筋、結束した後でも継手が可能です。また大アール部も固定できますので、かぶり厚さの管理が容易です。
